土台のない 三階はない
金持ちではあるが愚かな人がいた。他人の家の三階造りの高層が、高くそびえて美しいのを見てうらやましく思い、自分も高層の家を造ろうと思った。早速大工を呼び、建築を言いつけた。大工は承知し、まず基礎を造り、二階を組み、それから三階へ進もうとした。主人はこれを見て、「私の求めるのは土台ではない、一階でも、二階でもない、三階の高楼だけだ。早く作れ」と叫んだ。
愚かな者は、努め励む事を知らず、ただ良い結果だけを求める。しかし、土台のない三階はあり得ないように、努め励む事なくして、良い結果を得られるはずがない。
―百喩経(ひゃくゆきょう)より―
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